研究内容
低密度sEMGによる手腕動作の認識
本研究では,脳卒中や手腕に障害を持つユーザを対象に,低密度なsEMG(surface Electromyography)に基づく個人向け手腕動作支援フレームワークを開発します.sEMGは,皮膚表面の電極で筋収縮に伴う微小な筋電位を計測する手法です.本システムでは,多数のEMGチャンネルや汎用的な被験者間モデルに依存せず,前腕の選定筋に配置した3つのセンサから健側の手指や手首の運動意図を推定します.得られた情報をロボットハンド,グリッパ,また外骨格デバイスの制御信号へ変換することで,個人に適応した支援制御の実現を目指します.識別精度だけでなく,被験者の差異や電極位置のずれに対するロバスト性を高めることで,最小限のsEMG計測で手腕機能と生活の質の向上を支援できる実証的構成を示すことをゴールとして定めています.
日常支援のための把持補助デバイスの開発
本研究では,単一モータと腱駆動機構を用いたロボットハンドおよび外骨格による把持支援手法を開発しています.高齢者は,握力低下により日常動作が困難になる場合があり,外骨格に取り付けたデバイスで指の動きを制御することで把持動作を支援するデバイスが必要です.ただし,実用性の観点では,軽量かつ低コストであることが望ましいです.そこで本システムでは,1台のDYNAMIXELモータでワイヤを駆動し,複数指の屈曲と伸展を協調的に制御する機構を研究しています.また,外部センサを用いず,モータ電流値と位置情報を利用して把持状態を判断することで,構造の簡素化と安全な動作の両立を図ります.さらに,把持対象に応じた制御モードの切り替えや,把持状態推定に基づく安定した把持制御機能も実装することで,日常生活支援やリハビリテーション分野への応用を目指します.